日本美術・アートラベル献上式典

2012年6月25日夕刻、日タイ両国の文化の架け橋となる総勢29名の日本美術家と同行者が東京からバンコクへと旅立った。今回の目的は、昨年在位65周年を迎えられたタイ国王陛下の慶事を祝すとともに、昨年日タイ両国に起きた自然災害支援の為に企画された「タイ国王在位65周年記念アートラベル献上式典」参加によるものである。献上されるアートラベルを起用した日本酒は東日本の被災地の一つである茨城県水戸市の吉久保酒造の純米大吟醸「一品」となった。吉久保酒造では、国王陛下の慶事に肖り、献上酒となった「一品」の売上げの一部を被災地へ寄付する意志を表明しており、出発当時は訪タイする日本美術家は、タイ王室チャトリ―チャラーム・ユコン王子殿下との拝謁の栄誉のほか両国復興の担い手としての責務を果たすことになることを予感しただろう。同日、夜半には日本美術家一行は宿泊ホテルに到着した。

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  空港到着後、パトカーの先導でホテルへ向かう。
どれほど日本美術家の到着を歓迎しているか、
そして日タイの絆の深さがよくわかる歓迎ぶりである。

 

 

国内随一の教育施設でタイ芸術の精神性に遭遇

同年6月26日午前8時、日本美術家一行はタイ国立シラパコーン大学へと向かった。およそ、1時間足らずでバンコク中心部に位置する国立美大シラパコーンへ到着した。白い塀の入り口前には、観光スポットとして有名な旧王宮エメラルド寺院やワット・ポー(涅槃仏寺院または按摩寺)の広大な敷地を囲う純白の立派な塀が続いており、建設当時から美術大学であるシラパコーンはタイ王室にとっても重要な教育施設であることが窺える一面でもある。大学の門をくぐると、目の前にはタイ王国特有のオレンジ色の瓦屋根が葺かれた大学アートセンターギャラリー(2000年にはWACが主催する日タイ美術交流展2000)が開催されている。)が見える。そこには、世界芸術文化交流会理事長である同大教授のアマリット・チュスワン先生が訪れた日本美術家を歓迎した。

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始めにアートセンターギャラリーを案内して頂き、館内には過去8年を遡り同大教授陣のほかタイを代表する@名の美術家たちの作品が展示されていた。作品のジャンルは様々を絵画、彫刻の他にインスタレーションなど日本美術とは異なる様相の作品群を鑑賞し、美術の専門家である一行も関心の眼に変化しているように思われた。

続いて、大学構内の最も奥に位置する彫刻ギャラリーでは、歴代の国王の像や巨大なブッダの頭部の彫刻が展示され、タイの歴史と仏教の深い関わりを感じることができただろう。

訪タイ最大の目的である献上式典が開始された

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同日、午前10時半。一行は大学後にし、この度最大の目的である「タイ国王在位65周年記念アートラベル献上式典」へと向かった。午前11時頃到着した場所は、バンコク中心部から北へ凡そ20キロメートルほどに位置するノンタブリー県迎賓館「タッパワン・ビラ(Tabawan Villa=天王の家)」である。日本美術家たちは、美しい蓮池の庭園に足を踏み入れると、眼前に伝統的なタイ王宮建築の建物が現われた。到着と同時にウエルカム・ドリンクで歓迎され、2階建ての建物の2階に通された。恐らくタイのしきたりであろうか、建物の2階へは履物を脱いで上がることになる。この様式は日本も同様であるため、恐らく日本人である我々にとっては親近感を得たのではないだろうか。11時を少し過ぎたころ、ノンタブリー県のウィチアン・プッティビンユー(Vichian PUTIVINYO)知事とタイ政府総理大臣顧問であるプラポーン・ミリンダチッダ(Praphol MILINDACHINLA)氏が到着され日本美術家に歓迎の挨拶をされた。県知事はご挨拶を済ませると公務の為に中座する旨を伝えられた。奇しくも日本美術家一行と同日に訪タイしていた浩宮皇太子殿下も同県訪問している為、県知事としてお見送りをするとのことであった。

拝謁と同時期に皇太子殿下が同じ地に足を踏み入れられていたことに美術家たちも灌漑にふけったことだろう。

11時半過ぎ、チャトリーチャラーム王子殿下がご到着となり、献上式典が開始された。始めに世界芸術文化交流会赤尾信敏最高顧問より、30万バーツ(日本円で凡そ78万円)が殿下に手渡された。続いて同会東京本部代表理事から献上酒目録が手渡され、その後に順に日本美術家から殿下へ額縁入りアートラベルが献上され、同時に国王陛下干支7周祝賀記念徽章(タイ総理府制作)が各美術家に手渡された。式典は滞りなく施行され、階下に移動してチャトリ―チャラーム王子殿下とともに会食(昼食)が為された。凡そ2時間の式典及び会食の後、殿下ご退出を以って終了となる。

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タイ王室 チャトリーチャラーム・ユコン王子殿下 ウィチアン・ブッティンユー・ノンタブリー県知事 プラポーン・ミリンダチッダ・タイ政府総理大臣顧問

 

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献上式典の会場となったノンブリー県迎賓館「タッパワン・ヴィラ」

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石川文隆WAC東京本部代表理事より
献上酒目録がチャトリーチャラーム殿下へ手渡された


同日午後2時過ぎ、一行は宿泊先へと向かった。訪タイの2日目は過密なスケジュールではあったが、訪タイ最大の山場を越えて夕食会も賑やかに歓談されていた様子が窺えた。

同月27日、午前9時。一行は、先日訪れた大学付近のエメラルド寺院へと向かった。旧王宮内を見学し、その後、チャオプラヤー川を渡船してアットアルンを観光、最後にワットポーにて巨大な涅槃仏を鑑賞した。

そして、同日夜半に帰国を迎える一行ではあるが、この度の訪タイ報告の為に在タイ日本国大使館へと向かう。同日午後4時大使館会議室へ通されると、小島誠二特命全権大使の歓待を受け、先輩大使であるWAC赤尾最高顧問も謝辞を述べられていた。小島大使の提案で美術家の方々から大使館への要望や質問を受け付けるという一幕もあり、終始和やかな表敬訪問は凡そ1時間で幕を閉じた。

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P1050196.JPGのサムネール画像

 

在タイ日本大使館では小島誠二特命全権大使(写真左下・右側)らの歓待を受けた。
美術家から大使館への質問や要望を受け付けるなど、凡そ一時間の表敬訪問はあっという間に過ぎてしまった。


同日夕刻、この度の訪タイも終わりに近づき、帰国前の賑やかな夕食会を終えると一路帰国の途へ就く。タイ王国の親日振りに、初めて訪タイされた方々ならずとも感激したと思える。約6000キロメートルの距離を短く感じさせる旅行であったに違いない。